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パイロシークエンス(Pyrosequencing)法による癌ゲノム解析

製品カタログ

迅速かつ簡便な操作工程と定量性

QIAGEN社のPyroMarkシステムは、パイロシークエンス法を基本とするゲノム・エピゲノム解析における高精度なディテクションシステムである。近年、次世代シークエンサーやマイクロアレイによる網羅的なゲノム解析が注目を浴びているが、正確な変異やDNAのメチル化比率定量解析をするためには、迅速かつ簡便に多検体処理できるバリデーションツール が必要となる。PyroMarkシステムの特徴として迅速かつ簡便な操作工程と定量性が挙げられる。PCR以降わずか15分程度の簡単な前処理で、連続するCpG部位や変異箇所を高精度に定量可能であり、多検体における癌遺伝子異常解析に最適な手法といえる。

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このカタログについて

ドキュメント名 パイロシークエンス(Pyrosequencing)法による癌ゲノム解析
ドキュメント種別 製品カタログ
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登録カテゴリ
取り扱い企業 株式会社キアゲン (この企業の取り扱いカタログ一覧)

このカタログの内容

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パイロシークエンス(Pyrosequencing®)法による癌ゲノム解析 株式会社キアゲン マーケティング部 Abstract QIAGEN®社の PyroMark ™ システムは、パイロシークエンス法を基本とするゲノム・エピゲノム解析における高精度なディ テクションシステムである。近年、次世代シークエンサーやマイクロアレイによる網羅的なゲノム解析が注目を浴びている が、正確な変異や DNAのメチル化比率定量解析をするためには、迅速かつ簡便に多検体処理できるバリデーションツール が必要となる。PyroMarkシステムの特徴として迅速かつ簡便な操作工程と定量性が挙げられる。PCR以降わずか 15分程度 の簡単な前処理で、連続する CpG部位や変異箇所を高精度に定量可能であり、多検体における癌遺伝子異常解析に最適な 手法といえる。 はじめに アプリケーション パイロシークエンス(Pyrosequencing)法は、1998年にス SNP/遺伝子変異解析 トックホルム工科大学のNyrenらにより報告された Luciferase PyroMarkシステムは特定の配列領域を配列解読に基づいて の発光反応を利用した合成による配列解読(sequencing by 定量的な解析が可能である。そのため K-ras点突然変異などで synthesis)原理に基づいている(1)。一般的なシークエンス 見られるマルチアレリックな変異等、通常 Sangerシークエン 法は蛍光標識断片を電気泳動で分離して配列を決定していく。 ス法による解析が必要となる複雑な変異を持つ解析ターゲット 一方、パイロシークエンス法は鋳型 DNA断片に沿って DNA にも容易に対応できる(2)。 Polymeraseによる塩基伸長反応を起こさせ、シークエンシング DNAのメチル化比率定量解析 プライマー 3’末端の直下流を一塩基ずつルシフェラーゼ発光 により配列決定していく技術である。各ピークの高さは取り込 DNAのメチル化状態を解析する方法として、ゲノムワイドに まれたヌクレオチド量に比例するため、得られるパイログラム 解析することを目的するものとターゲット配列特異的に正確な の発光ピークパターンから塩基配列を決定することができる。 定量解析を多検体に実施するものがある。 またターゲット領域のピーク高の比率を計算することにより、 次世代シークエンサーで DNAのメチル化解析する手法は、 クローニングなしで高精度な定量解析も可能である。そのた ゲノムワイドな解析に優れているが、認識配列の制約や解像度 め、遺伝子変異解析や DNAのメチル化比率定量解析の分野等 およびコスト等の制限があるために、特定領域の CpG部位に で PyroMarkシステムの活用が進んでいる(図 1)。 対する多検体解析には不利である。ターゲット配列特異的に 正確な定量解析を行なうには Cloned–Sangerシークエンシング が挙げられるが、操作工程が煩雑でありランニングコストや スループットの面で課題が残る。一方、PyroMarkシステムは クローニングなしで迅速かつ簡便に正確な DNAメチル化比率 定量解析を実現でき、多検体でのバリデーションツールとして 図 1. PyrMark Q24システム 最適な手法である(3)。 24サンプル対応の小型なマルチ アプリケーション機種であり、 省スペースでの設置が可能。さら に、ハイスループット機種として 96サンプル対応の PyroMark Q96 IDシステムも入手可能。 Sample to Insight
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大腸がんのエピゲノム解析による癌関連 miRNA遺伝子 の同定 札幌医科大学 医学部 分子生物学講座の豊田 実、鈴木 拓らは 大腸癌のエピゲノム解析による癌関連 miRNA遺伝子の同定を 目的として、クロマチン免疫沈降法と次世代シークエンサーを 組み合わせて大腸癌細胞のヒストン H3K4、H3K27、H3K79の ゲノムワイドなメチル化状態のプロファイリングを実施した。 さらに miRNA発現プロファイルと比較することでエピジェネ ティックに不活化された miRNA遺伝子をスクリーニングした。 その結果、22個の miRNA遺伝子のプロモーター CpGアイラ ンド領域が、エピジェネティックなサイレンシングを受けてい ることを示した。さらに複数のヒト大腸癌細胞株および臨床 図 3. 原発性大腸癌組織における miR-1-1の DNAメチル化比率定量解析 パイロシークエンス法を用いて原発性大腸癌組織における miR-1-1の DNAメチ 検体におけるメチル化状態を、パイロシークエンス法によって ル化比率定量解析を実施。94検体中 76%の大腸癌細胞が高メチル化(カット 定量的にバリデーションした(図 2)。中でも miR-1-1に注目し オフ値 15%)を示した。さらに、Cloned-Sangerシークエンシング法によって も同様の結果が認められた。 解析を進めた結果、大腸腺腫の 69%、大腸癌の 76%において (札幌医科大学 医学部 分子生物学講座 豊田 実、鈴木 拓 提供) miR-1-1プロモーター CpGアイランドのメチル化(カットオフ 値 15%)が確認された(図 3)。これらの解析から miR-1-1は早 おわりに 期または進行大腸癌において高頻度にメチル化しており、miR- PyroMarkシステムは、パイロシークエンス法を基本とする 1-1は癌抑制遺伝子として働いていることが示唆された(4)。 迅速かつ簡便で高精度なディテクションシステムであり、SNP /遺伝子変異解析や DNAのメチル化比率定量解析等の様々な アプリケーションへの応用が可能である。特に、単一ランで CpGアイランドにおける複数の CpG部位を個別にかつ迅速 簡便に定量解析が可能であることから、癌、糖尿病、精神疾患 等の DNAメチル化研究において実証済みの手法として活用が 進んでいる。 最後に PyroMarkシステムをはじめとするQIAGEN製品を通し て皆様のご研究を少しでも支援できれば幸甚である。 参考文献 1. Ronaghi M, Uhlén M, Nyrén P. A sequencing method based on real-time pyrophosphate Science. 1998: 281; 363-365. 2. Sundström M, Edlund K, Birgisson H, Micke P, Botling J.et al. KRAS analysis in 図 2. エピジェネティックなサイレンシングを受けている miRNA遺伝子同定の colorectal carcinoma: analytical aspects of Pyrosequencing and allele-specific 解析フロー PCR in clinical practice. BMC Cancer. 2010 Dec 1;10:660. miRNAの発現レベルと次世代シークエンサーを用いた ChIPシークエンス解析の 3. Tost J, Dunker J, Gut IG.et al. Analysis and quantification of multiple methylation 組み合わせにより活性化プロモーターを検出。さらに、大腸癌細胞株 HCT116、 variable positions in CpG islands by Pyrosequencing. Biotechniques. 2003 および DNMT1と DNMT3Bをノックアウトした HCT116(DNMTsKO細胞)間 Jul;35(1):152-6. における脱メチル化の有無の比較により、エピジェネティックなサイレンシング 4. Suzuki H, Takatsuka S, Akashi H, Shinomura Y, Imai K, Toyota M.et al. を受けている miRNAを同定。最終ステップとして、MSP法やパイロシークエン Genome-wide profiling of chromatin signatures reveals epigenetic regulation of ス法により複数の癌細胞株においてバリデーションを実施。 MicroRNA genes in colorectal cancer. Cancer Res. 2011 Sep 1;71(17):5646- (札幌医科大学 医学部 分子生物学講座 豊田 実、鈴木 拓 提供) 58. Epub 2011 Jul 6. Trademarks: QIAGEN®, PyroMark ™ , Pyrosequencing® (QIAGEN Group). 本文に記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。 © 2015 QIAGEN, all rights reserved. 株式会社 キアゲン | 〒 104-0054 | 東京都中央区勝どき 3-13-1 | Forefront Tower II Tel:03-6890-7300 | Fax:03-5547-0818 | E-mail:techservice-jp@qiagen.com 2302323 08/2015