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産業用ロボットナビ Vol.1 ダイジェスト版

ホワイトペーパー

川崎重工業、イフロボティクス、ABBなど業界キープレーヤーが語る最新動向

産業用ロボットの基礎知識から最新動向まで徹底解説!
今ならダイジェスト版を無料でお読みいただけます。

■掲載内容(一部抜粋)
・中小企業でのロボット導入・活用へ〜双腕型スカラロボットduAroの開発〜(川崎重工業株式会社)
・トヨトや吉野家、オムロンなどが採用〜人とロボットの協働のために開発した「CORO」〜(ライフロボティクス株式会社)
・YuMi:今、ここにある未来(ABB株式会社)
など


※ダウンロードされたお客様の情報は弊社プライバシーポリシーに則り協賛企業へ共有させていただきます。あらかじめご了承下さい。

【協賛企業】KUKAロボティクスジャパン株式会社/川崎重工業株式会社/ABB株式会社/株式会社ジャパンユニックス/B&R Industrial Automation株式会社/因幡電機産業株式会社/株式会社デンソーウェーブ/株式会社安川電機/オムロン株式会社

このカタログについて

ドキュメント名 産業用ロボットナビ Vol.1 ダイジェスト版
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
ファイルサイズ 4.9Mb
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取り扱い企業 アペルザ (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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このカタログの内容

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別冊 Vol.1 Industrial Robots , Collaborative Robots , Industry4.0 , Smart Factory 第4次産業革命、インダストリー4.0 ロボット新時代の幕開け ー進化を続ける製造現場の必須ツールへー インタビュー 川崎重工業、デンソーウェーブ、 セイコーエプソン、オムロン、 住友重機械工業、ライフロボティクスなど ABB YuMi:今、ここにある未来 7軸と触覚を持つKUKA新世代軽量ロボット FAプロダクツ、変化するロボットへの投資ルール 因幡電機産業、ロボットで顧客の課題解決 ~技術商社としての取り組み~ 株式会社アペルザ オートメーション新聞社
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INDEX 産業用ロボットナビ Vol.1 I N D E X 産業用ロボットとは?その定義と種類、形状 …………………………………………………………………………………… 1 過去最高の更新を続ける世界のロボット販売 2018年には40万台に ………………………………………………………… 2 世界一のロボット需要国・中国の最新事情 ……………………………………………………………………………………… 3 日本ロボット産業のこれまでを振り返る 普及元年からロボット新戦略まで ………………………………………………… 4 ロボット普及の鍵はシステムインテグレーターにあり ……………………………………………………………………… 5 新たな市場創出へ 人と一緒に働く協働ロボットに期待大 ……………………………………………………………… 6〜 7 中小企業でのロボット導入・活用へ~双腕型スカラロボットduAroの開発~   橋本康彦 川崎重工業株式会社 常務執行役員ロボットセンター長 ………………………………………………… 8〜 9 世界で注目の協働ロボットSawyer 日本市場での展開   冨田良幸 住友重機械工業株式会社 取締役専務執行役員 技術本部…長…  ………………………………………………… 10 トヨタや吉野家、オムロンなどが採用 人とロボットの協働のために開発した「CORO」   尹 祐根(ゆん うぐん) ライフロボティクス株式会社 代表取締役社長 CEO&CTO  …………………………………… 11 ロボットで顧客の課題解決 〜技術商社としての取り組み〜   北野明彦 因幡電機産業株式会社 取締役産機本部長 …………………………………………………………………… 12 変化するロボットへの投資ルール   天野眞也 株式会社FAプロダクツ 代表取締役会長 ……………………………………………………………………… 13 人との協調作業を実現するKUKA LBR iiwa   星野泰宏 KUKAロボティクスジャパン株式会社 代表取締役社長 ……………………………………………… 14〜 15 YuMi:今、ここにある未来   菅井康介 ABB株式会社 オートメーション・モーション事業本部         ロボティクス事業部 ロボット&アプリケーション部 ……………………………………………………… 16 次世代型協働ロボットの使命→「相棒」 (Change the World)   ラース・アンダーソン 有限会社グリーネプランニング 代表 …………………………………………………………… 17 究極の基本性能を追求 ~制御中心の設計で“本物の高速性”を実現~   澤田洋祐 株式会社デンソーウェーブ 制御システム事業部 技術企画部 製品企画室 室長 …………………………… 18 「省・小・精」の技術を究め極め、ロボット事業に展開   平崎道也 セイコーエプソン株式会社 ロボティクスソリューションズ事業部 RS営業部長 ……………………………… 19 人と機械が理想的に調和する現場実現へ   池野栄司 オムロン株式会社 インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー         ロボット推進プロジェクト 副本部長… ………………………………………………………………………… 20 世界最高レベルの軌跡精度を実現した 高精度ロボット   株式会社ダイヘン …………………………………………………………………………………………………………… 21 転換期を迎えた“世界の工場”中国 ロボットを使ったはんだ付け自動化が拡大中   株式会社ジャパンユニックス ………………………………………………………………………………………… 22〜 23 ラインの全自動化に必要不可欠な 3次元ロボットピッキングシステム   徐 剛 株式会社三次元メディア 取締役代表執行役社長 ………………………………………………………………… 24   日本のFA機器メーカーとロボット事業 ………………………………………………………………………………………… 25 産業用ロボットナビ Vol.1  発行所:株式会社アペルザ オートメーション新聞社 発行日:2016年9月12日 価 格:1000円+税 〒231-0023 神奈川県横浜市中区山下町23番地 日土地山下町ビル13F 電 話:045-228 -8873 FAX:045-345 -4790       メール:info@automation-news.jp オートメーション新聞WEB版 http://www.automation-news.jp/
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インタビュー 中小企業でのロボット導入・活用へ 橋本康彦 ~双腕型スカラロボットduAroの開発~ 川崎重工業株式会社 常務執行役員ロボットセンター長 川崎重工業(以下、川崎重工)はスカラロボットを同軸上に配置した双腕ロボット「duAro(デュアロ)」 を開発し発売している。duAro は、「Easy to use」「人とロボットとの共存と協調」などをキーワー ドに、あらゆるユーザーにとっての使いやすさを追求して誕生した。開発コンセプトやそれを実現す る技術などを常務執行役員橋本康彦ロボットセンター長に聞いた。 ―duAro について教えてください あった。現在では産業用ロボットメーカーのパイオニアとして  これまでの産業用ロボットは、自動車業界など製品のライ スポット溶接、アーク溶接、組立・ハンドリング、塗装、パレ フサイクルが長い量産分野を中心に導入が進み、発展してき タイズ用などの多数の「カワサキロボット」を供給している。 た。その一方で、電気・電子業界など製品のライフサイクル  当社は重厚長大産業の代表企業の一つと見られているが、 が短く、数カ月単位でのモデルチェンジを繰り返す分野では、 提供する製品群は IT の発達に伴う各種のセンサーや制御技 準備期間や費用対効果で自動化が難しいと考えられてきた。 術を取り込み、「ただ大きく重いだけではない製品」へと変身 duAro は、こうした分野における産業ロボットの導入を実現 を遂げている。また、重厚長大産業は、航空機分野など人命 すると同時に、機能の高さと低価格の同時実現により、中小 に関わる製品を製造するため、厳しい安全基準や品質管理が 企業のものづくり現場への産業用ロボットの導入・活用にも道 要求されてきた分野でもある。ロボット事業が今後医療・医 を拓くと期待している。 薬分野に進出していく際には、このような企業としての知見・  duAro は、人と共存して働くのに必要な機能が備わってい 経験も生かしていくことができると考えている。 る。ロボット本体は、胴体から水平に伸びた2本のアームが ― duAro 開発の背景について教えてください 対になって動き、人が両腕で行っている作業を、人1人分のス  双腕スカラロボット「duAro」の開発アイデアは、電子業 ペースに置き換えられる。衝突検知機能や作業者の近くでは 界などの要望からもたらされた。電子業界の製品は、概して 低速で動作するなどの安全機能を装備しており、作業者のす ライフサイクルが短い。一方、従来の産業用ロボットは、生産 ぐ横に設置しても安心して作業をさせられる。また、ダイレク ラインのレイアウト変更への対応が難しく、毎回、多大なエン トティーチング機能やタブレット端末による操作・ティーチン ジニアリング時間や費用がかかってしまう。製品のライフサイ グなど、簡単にシステムを立ち上げられる実用性の高いロボッ クルにロボット導入が追いつかないのである。このため電子業 トにしているほか、ロボット本体とコントローラーを台車一体 界でのロボット導入は遅々として進んでいなかった。そして実 のパッケージ構造とし、設置や移設を極めて容易にしている。 は、電子業界のニーズは、中小企業のニーズであることも分かっ ― 川崎重工の産業用ロボットについて教えてください てきた。  当社は「産業用ロボットの父」と呼ばれたエンゲルバーガー  日本のものづくりの現場は、社数では中小企業が9割を超 博士が創始した米ユニメーション社と提携し、1968 年に国 えている。少子高齢化などで作業員の確保が難しくなる中で、 産初の産業ロボット「ユニメート 2000 型」の開発に成功、 労働力不足への解決策が求められている。そのためにロボッ 翌 69 年から製造・販売を開始した歴史がある。また、自社 トの活用を検討する中小企業主は多いが、工場が狭いために 工場でさまざまな用途へのロボットの活用を試み、その知見 ロボットを設置するスペースが確保できない、また高価格な を他の産業分野での活用へとつなげている。例えば明石工場 ので設備投資負担が大きくなるなどの悩みの中、ロボットの普 (兵庫県)での工作機械の自動化システム(1971 年)は、機 及が進まない分野が数多くある。私たちは、これまでとはまっ 械加工の自動化に産業用ロボットを適用した国内初の試みで たく異なる発想でのロボット開発の必要性を感じた。  ―「duAro」のコンセプトと、人とロボットの共存・協調に ついて教えてください  国際規格 ISO10218 は、2006 年の改訂で特定条件の下 での人とロボットの共存、協調作業を認め「安全柵や囲いを 設けるかどうかはリスクアセスメント判断による」とした。こ れはロボットの安全技術の進歩に伴い、実情に沿うように改 訂されたものである。  しかし国内法では人との共存、協調作業は認められておら ず、そのために国内ではロボットの導入が進まなかった。当社 も、産業用ロボットメーカーの一員として経済産業省と共に厚 双腕スカラロボット duAro の動作範囲 生労働省に積極的に働きかけ、2013 年 12 月、国際標準化 duAro( デュアロ) — 8 —
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産業用ロボットナビ Vol.1 人1人分のスペースに設置して共存作業を実現 さまざまな作業に導入できる 人と共存領域での低速動作などを実現 機構の定める産業用ロボットの規格に準じた措置を講じるこ の duAro の操作盤として使えるようにもした。 とで「安全柵の中のロボット」は解き放たれ、「人と共存、協  duAro が双腕であるのも、簡単なシステムの立ち上げに 調するロボット」への門が開かれた。 つながっている。双碗だと、挟み込む動作が可能になるため、  duAro の開発にあたっては「人と共存作業が可能」「システ ハンドの付け替え無しで様々な大きさ、形状のものの作業に ムの立ち上げが簡単」「低トータルコスト」の3つ開発コンセ 対応可能である。また、一つのアームでワークを固定し、もう プトに沿っている。 一つのアームで作業することが出来るため。アームの先に付け  ちなみに duAro という名前は、英語の「Dual Arm」と る治具を簡素化できる。つまり、双腕ロボットは多様な大きさ・ 「Robot」を組合わせた造語で、2本のアームを持つ安心・安 形状のものを扱う作業を簡単に行なえ、それだけシステムの 全なロボットというイメージで、親しみやすい愛称にした。ま 立ち上げを早く簡単にできるのである。 た親しみやすさと安心感を形にするために、丸みを帯びた本  ―コストについても教えてください 体の曲線やアームへの柔らかな材質の採用、さりげなく配され  販売価格を 280 万円に設定したこともあり、価格に驚きを た青のスポットカラーなどに具現されている。 感じられるお客様が多く、2015 年 6 月の発売直後から多く  duAroはライン変更を行わずに人1人分のスペースにロボッ のお客様から問い合わせをいただいた。川崎重工内に蓄積さ トを設置することができる。水平多関節のアームを同軸上に れ、練られ、コスト削減効果の大きな既存技術も積極的に取 配置した双腕構造とし、ロボットとコントローラーを1台に集 り入れ、低コスト化が実現できた。 約してパッケージ化し、人1人分のスペースに設置できるように  また、産業用ロボットの導入では、ロボット本体の費用の他 している。また、同軸双腕構造にしたことでアームの干渉が に、位置決め治具などの周辺機器に費用がかさみ、総費用が 起きにくくなり、従来のスカラロボットでは困難であった協調 本体価格の2〜3倍になる事例も珍しくないがロボット本体と 動作も容易になった。 周辺設備のパッケージ化に力を注ぎ、2 本のアームを使うので  腕の長さは、人と一緒に作業するので人間を基準に考え、 治具レス対応もでき周辺費用は従来と比べて抑えることが出 かつ人は片手で仕事をすることは少ないので双腕というアイデ 来る。 アが生まれた。さらに台車ごと移動させて簡単に設置できる。   これまでライン変更に時間を要していたシステム立ち上げやロ ―duAro のこれからについて教えてください ボットが停止した緊急時も素早く対応できる。  従来、産業用ロボットは大手メーカーの独占物のように思わ  人と共存作業を可能にするためには、周辺の作業者に危 れてきた。しかし duAro によりまったく新しいロボットとの 害を及ばさないことが最大の課題になる。duAro は、出力 共存・協調の時代が始まる。 80W 以下の低出力モータを採用し、安全柵を必要としない。  また簡単に使えるようになるため、ご利用になるお客さまは 縦型の腕部には柔らかい材質の安全カバーを装着。その上で、 改善要望を見つけやすくもなり、要望は duAro をさらに進化 衝突検知機能を備える一方、左右の作業者との共同作業領域 させるであろうし、お客さまとメーカーが問題解決のために協 では低速で動作し、中心部では高速で動作するなどを任意で 調し、協創するサイクルを生み出せる。それが duAro を世に 設定できようになっている。 送り出した最大の意義ともなろう。特に、中小企業のものづ  従来の産業用ロボットのシステム立ち上げで最大の課題と くりの現場にロボットの力をお届けできるようになり、duAro なっていた作業内容の教示「ティーチング」でも duAro は画 は、加速度的に具体的な成果を見せ始めるに違いない。 期的な技術を取り入れた。「ダイレクトティーチング機能」と「携  人には人の、ロボットにはロボットの長所があり、人とロボッ 帯情報端末(タブレット)による操作・ティーチング」の併用 トがシームレスに連携すれば、ものづくりの競争力を強める余 である。 地は十分にある。例えば、日中は人とロボット、夜間はロボッ  ダイレクトティーチング機能は子どもへの手取り足取りをイ トのみの生産体制を構築したり、ロボットで体の不自由な方の メージしていただきたい。アームを握り、右のねじ穴から左の 活躍をサポートして労働に参加する取り組みもできるようにな ねじ穴へといった動きをなぞりながら動作を指示するだけで作 るだろう。 業を覚える。  ベストパートナーとして人に寄り添い、人を支える。それが  タブレット端末による操作や動作設計もできるようにした。 ロボットであり、川崎重工はどのような生産体制、働き方が可 duAroでは操作盤の機能はすべてタブレット端末に移してユー 能であるかまで含めたトータルなソリューションを提供しなが ザービリティの高い簡単な方法にしてあり、端末の操作は、1 ら duAro を普及させていきたいと考えている。 日で覚えられるほど簡単だ。またタブレット端末は、複数台 — 9 —
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産業用ロボットナビ Vol.1 インタビュー 菅井康介 ABB 株式会社 オートメーション・モーション事業本部 ロボティクス事業部 ロボット&アプリケーション部 YuMi®:今、ここにある未来 70 年代より自動車分野を中心に発展してきた産業用ロボットは、今新た な転換点を迎えています。その一例が協働型ロボットの登場。人と隔離 する安全柵が不要となり、新しい産業や用途におけるロボットの活用が 模索されています。ABB は、YuMi®(ユーミィ)という名の協働型双腕 ロボットで、ロボット新時代、新しい可能性を形にすべく尽力しています。 双腕ロボット YuMi® 人と隣り合う未来:ハードウェア & 制御 なプログラム作成を直感的に行えます。そして、高精度シミュ レーションソフトウェアでもあるため、実機を使わずとも机  2015 年、ABB は YuMi®(ユーミィ)という名の協働型 上で様々な検証もできます。 双腕ロボットの販売を開始しました。YuMi® は「人との協  2 つ目は、リードスルー・プログラミング。ロボットの腕 働を真の意味で実現する、世界で初めてのロボット」という を直接動かし、ポイントを覚えさせるだけでプログラムを作 コンセプトを有し、その名は「You&Me」、すなわち自動化 成できる革新的な方法です。Windows 汎用タブレットに専 の未来を一緒に創造しよう、という思いに由来します。 用アプリをダウンロードして YuMi® に接続するだけですぐ  YuMi® の特長のうち、最も重要なのは安全柵が不要、と に使え、通常のプログラムと同様の精度、再現性で動作しま いう点。徹底的な安全設計思想が貫かれている YuMi® は、 す。高精度な調整が必要であれば、大まかな動作をリードス 強靭なマグネシウム骨格でありながら軽量で、フローティン ルー・プログラミングで作成後、ロボットコントローラ(ペ グプラスチック製ケーシングを衝撃吸収パッドで覆い、関節 ンダント)で微調整して仕上げることも可能です。 部には適切なクリアランスを設けて指などの挟み込みを回避  2016 年 1 月 以 降、ABB ジ ャ パ ン で は「YuMi® Day し、軸動作による怪我を本質的に防いでいます。そして、一 2016」というイベントを随時開催し、多くのお客さまに実 緒に働く作業者による不意の衝突が生じた際には、“ 予期せ 際に YuMi® に触れていただきました。プログラミングの簡 ぬショック ” として感知し、数ミリ秒のうちに動作を停止。 易さをご体感いただき、現場における用途拡大の可能性を充 あたかもオーディオのリプレイ機能のような容易さで作業を 分に感じられる有益なフィードバックとともに、現在、お客 再開することもできます。 さまと協力しながら幅広いアプリケーションについて試験を  また、人間の上半身とほぼ同等のコンパクトさ、両腕によ 行っています。こ る動作も人間に近く、共に働く人間にとって “ 機械 ” と働く の 新 次 元 の ユ ー 違和感、圧迫感を軽減するといった心理的側面にも配慮して ザーフレンドリー います。こうして YuMi® は人と隣り合い、向かい合って一 を謳う協働ロボッ 緒に作業をすることができるロボットとなりました。なお、 トは、現在も機能 コントローラをボディ内に格納しながらも重量は 38㎏に抑 的な進化を遂げて え、大人 2 人で持ち運べる可搬性も有しています。何より、 いる最中であり、 家庭用の 100V 電源で稼働するため、設置場所のバリエー 実際にご体験いた ションはこれまでの比ではありません。 だく機会を引き続 き設けていきます。 RobotStudio® 新次元のユーザーフレンドリー:プログラミング  ABB では、新市場や新用途で柔軟にロボットをご活用頂く 産業用ロボットのさらなる活用に向けて ためには、プログラミングの簡便さが最も重要だと考えてい  私たちは、新市場におけるロボット活用を促進する重要な ます。YuMi® は、同クラス最高水準の動作速度、精度を有 製品として、YuMi® を位置づけています。故に、ハードウェ する 14 軸の多関節ロボットであり、複雑でスピーディかつ アの性能を追求するだけでなく、導入検討からアフターサー 柔軟な動作が可能です。一方、その動作の複雑さがプログラ ビスに至るまで、製品運用サイクル全体を総合的に捉えた製 ミングの複雑さに直結してしまうと、協働型ロボットのフレ 品開発とサービス提供を心がけています。YuMi® について キシビリティという魅力が大きく損なわれてしまいます。そ も、専用のアフターサービスパックを設け、不測の障害への こで、YuMi® では 2 つのアプローチでユーザーフレンドリー 対応も行っています。私たち独自の強みを活かして、国内に なプログラミングを実現しています。 おける新たなロボット活用を積極的に促進していくこと、新  1 つ目は、ABB 共通の汎用オフラインプログラミングソ しい時代を着実に形にしていくことが ABB ジャパンとして フトウェア:RobotStudio® を使う方法です。これは 3 次元 のミッションであり、従来から有するロボットラインアップ、 CG を主インターフェースとし、ロボットプログラムの経験 新たな可能性を無限に秘めた YuMi® の活用によって、引き 者のみならず、初めてプログラミングに取り組む方でも高度 続き市場に新しい風を起こしていきたいと考えています。 — 16 —
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産業用ロボットナビ Vol.1 インタビュー トヨタや吉野家、オムロンなど国内トップ企業が採用 人とロボットの協働のために開発したコ・ロボット「CORO」 尹 祐根(ゆん うぐん) ライフロボティクス株式会社 代表取締役社長 CEO&CTO 「トヨタ自動車や吉野家、オムロンなどの大手企業が採用」「第三者割当増資による5億円調達完了」 など、大きなニュースで注目を集めているロボットメーカーがある。それが 2007 年創業、肘がない 独自の機構を持つ協働ロボット「CORO(コロ)」を展開するライフロボティクスだ。その取り組みに ついて尹社長に話を聞いた。 —日本を取り巻く環境と創業について教えて下さい 業者にとって肘は危険なものなのです。そのため CORO は、  日本は少子高齢化で労働人口が減って経済規模が縮小し、 肘の代わりに「トランスパンダー」という伸縮機構を採用し、 それを解決するために様々な方法が議論されています。また 狭いところに導入でき、動きもシンプルなものとなっていま 生産コストを抑えるために、人件費の安い中国や東南アジア す。このトランスパンダーは特許のかたまりで、CORO には に製造拠点を移してきましたが、近いうちに人件費が高騰し 100 件以上の知財が詰まっています。 て、このモデルも崩れていくと思います。まさに今、日本は 転換期にあり、少ない労働力でも高い生産性を維持し、人件 —ティーチング(教示作業)や操作も簡単だそうですね 費の高い先進国でも十分な利益が出る新しい生産モデルを構  UFO キャッチャーのように簡単に扱えるのが最終目的で 築する必要に迫られています。 す。ゲームのコントローラのようなリモコンで操作でき、よ  新しい生産モデルを世界に先駆けて実現できれば日本経済 り精度が必要な場合は数値入力も可能です。 は再び上昇することができます。そこに必要なピースが「協  また CORO は「進化するロボット」でもあります。はじ 働ロボット」なのです。労働力の不足と生産性向上をロボッ めに提供するティーチングソフトウェアも随時アップデート トで補い、単純作業を協働ロボット(コ・ロボット)に任せ、 して、使いやすさの向上や新しい機能の追加などを行ってい 人は付加価値の高い作業に集中する。私がこれまで培ってき く予定です。ユーザーからロボットのデータをいただいたり、 たロボット技術があれば実現できるかもしれない、これから ご意見やご要望を反映していこうと考えています。 の日本の未来に貢献できると思い、2007 年に創業しました。 —導入実績とこれからについて教えて下さい —CORO とはどのようなロボットですか?  トヨタ自動車や吉野家、ロイヤル、オムロンといった国内  いま製造現場にあるロボットは、安全柵に囲まれた大きな トップ企業に CORO を購入いただきました。このほか大手 スペースの中で動き、人の作業スペースと隔離されています。 化粧品メーカー、物流大手企業などでも採用されています。 すでに自動車メーカーや電子機器メーカーなど自動化が進ん 関心を持っていただいた企業の多くは、パートや外国人労働 でいる業界では、こうしたロボットが数多く導入されていま 者でも人手不足が追いつかなくなってきて、そのために入れ す。 たいというニーズや、生産性向上のため狭小空間で使いたい  しかし逆を言えば、これらの業界でしか使えていないとい ニーズが目立ちます。CORO が必要とされる余地は予想以上 うことです。自動化が進んでいないようなところでは、従来 に多いと感じています。 のような広い空間で速く動き、危険がともなうロボットは適  将来的には、人手不足という言葉を日本からなくしていき していなかったのです。では、まだロボットを使っていない たいと考えています。CORO はそのスタートであり、足りな ようなところに最適なロボットは何かと言うと、CORO のよ いパーツや技術は、ソフトウェアも含めてこれから調達し、 うな協働ロボットなのです。 この世にないものは開発 していきます。今はいち —CORO の特徴や他の協働ロボットとの違いを教えてくだ さい ロボットメーカーです  従来の産業用ロボットは、広いスペースで、安全柵に囲ま が、IoT や人工知能など れた状態で使うことを前提に設計されています。ほかの協働 の導入を実現して「第 4 ロボットもその流れを汲んで開発されたものです。 次産業革命」を牽引する  一方、CORO は、初めから協働ロボットとして開発しまし ことで、日本を支える企 た。例えば CORO には肘がありません。肘は人にぶつかっ 業を目指しています。 た場合に怪我につながりやすく、狭い場所で使った時には安 全を脅かす要因になります。また、手先とは違った複雑な動 きをするので、動きが予測できません。ロボットと周りの作 コ・ロボット「CORO」 — 11 —
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産業用ロボットナビ Vol.1 インタビュー 変化するロボットへの投資ルール 天野眞也 株式会社 FA プロダクツ 代表取締役会長 「優れた営業力とエンジニアリング力で、日本の製造業の発展に貢献する」を使命としているFAプ ロダクツ。産業用ロボット導入においても、協働ロボットのシステム導入から、3次元ビジョンセン サを活用したバラ積みピッキングまで幅広い実績をもち、優れた SIerとしても評価されている。現 場から見た産業用ロボット導入について天野眞也代表取締役会長に話を聞いた。 ―産業用ロボットの市場についてどの様に見ていますか? まっています。将来的には介護や受付などの分野でも活躍の  製造業の国内回帰や、要求品質の向上、現場の人材不足な 場が広がってくるでしょう。 どから産業用ロボットに対するニーズは日々増していると感 じています。ロボット本体の性能向上はもちろんですが、目 ―製造業でのロボット導入の課題は何でしょうか? となるビジョンセンサや、脳となるコントローラの技術革新  ロボットを現場に導入するシステムインテグレータ(SIer) も相まって、ロボットの適用分野は増え、当社へのご相談も やエンジニアの不足です。ロボット技術はロボット本体の制 非常に多くいただいております。さらに、今後はロボットを 御技術だけではなく、目となる画像処理技術や、脳となる 導入するかどうかの判断基準に変化が出てきて、ロボットが データ処理技術、触覚となる力覚センサなどの複合技術です。 活躍する場が劇的に増えると見ています。 ティーチングなども簡単になって来ていますが、実際に機器 を組み合わせて、現場のニーズに適した機器構成を見出し、 ―ロボット導入の基準が変わる? ロボットが目的の作業ができる様にするには、ロボット周辺  製造装置もそうですが、ロボットを導入するかどうかの判 機器を含めた知見と、高度なエンジニアリング力が必要です 断基準は今まで「投資対効果」が全てでした。人が作業した が、エンジニアが足りません。また、ロボット各社でプログ 方が安ければ人で、海外で生産した方が安ければ海外で生産 ラミング方式や外部との通信方式が異なり、メーカー専属の が行われ、ロボットを導入した方が良ければ投資がなされて SIer でないとティーチングできないというケースも多くあ いました。従来の自動車産業においては、溶接や塗装も昔は ります。「エンジニア不足」「標準化」この2つがロボットを 人が作業していましたが、6軸多関節ロボットを導入する方 取り巻く大きな課題と考えています。 が安全で効率的ということで導入が進みました。電機・デバ イス・精密機器組立の分野でロボット化が進んでいるのも、 ―今後の抱負を教えてください 人が作業するよりもスカラロボットを導入した方が正確で速  当社はロボットを含めたシステム全体を統合し、最適化で く、高い品質の製品が作れるためです。食品・薬品業界でも きる知見を持っていると自負しています。実際に、協働ロボッ パラレルリンクロボットを使って移載する方が、人が作業す トのライフロボティクス、ユニバーサルロボットをはじめ、 るよりも効率的です。いずれも「投資対効果」を基準に判断 安川電機、ファナック、三菱電機、デンソーウェーブ、エプ がなされていた結果と言えます。 ソン、KUKAなど多くのメーカーのロボットシステムを周  しかし、これからは製造業を含めたあらゆる産業で人材不 辺機器と組み合わせ、ソリューションとして現場に導入して 足が起こります。募集をかけても、必要な人数が集まりませ きました。全国 80 社以上の提携先を持ち、FA/PA 製造装置・ ん。たとえ集まっても、人材の流動性は高まるばかりで、身 システムからソフトウエアまで企画・開発・製作してきた実 に着けた技術を持って他社に転職してしまいます。そのよう 績を活用し、日本の製造業発展のために貢献したいと考えて な時代には、ロボットと人との作業仕分けのルールに変化が おります。 起こります。「費用対効果」だけではなく、「ロボットででき る部分はロボットを導入する」「ロボットでできない部分を人 が行う」という新しいロボット導入の判断基準ができ、実際 にその兆候が見え始めています。 ―そうするとロボットの適用分野にも変化があるのでしょう か?  ロボットメーカー各社が開発を進めている「協働ロボット」 がその典型です。従来の完全自動工程で使われる 6 軸多関節 ロボットや、スカラロボットだけではなく、人が作業してい る場所で、人の代わりに働くロボットのニーズが飛躍的に高 FA プロダクツが提供するソリューション — 13 —
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オートメーション新聞別冊 産業用ロボットナビ完全版 ファクトリーオートメーション専門紙「オートメーション新聞」が 編集した、産業用ロボットのムック本。 産業用ロボットの概要や市場動向、近年力をつけてきている 中国メーカーなどの情報を掲載。 新たな市場創出へ 人と一緒に働く協働 ロボットに期待大 冨田良幸 住友重機械工業株式会社 世界で注目の協働ロボットSawyer オートメーション新聞別冊「産業用ロボットナビ」Vol.1 日本市場での展開 オートメーション新聞 (著) オートメーション新聞編集部 (編集) 星野泰宏 KUKAロボティクスジャパン株式会社 Back Number 人との協調作業を実現する KUKA LBR iiwa 澤田洋祐 株式会社デンソーウェーブ 制御中心の設計で “本物の高速性”を実現 amazon にて発売中 産業用ロボットとは?その定義と種類、形状 過去最高の更新を続ける世界のロボット販売 2018年には40万台に 世界一のロボット需要国・中国の最新事情 日本ロボット産業のこれまでを振り返る ロボット普及の鍵はシステムインテグレーターにあり オートメーション新聞別冊 ロボットで顧客の課題解決 ~技術商社としての取り組み~ 「制御盤・配電盤ナビ」Vo l.22016/5/25発売 次世代型協働ロボットの使命→「相棒」 (Change the World) 「省・小・精」の技術を究め極め、ロボット事業に展開 オートメーション新聞別冊 人と機械が理想的に調和する現場実現へ 「Industry4.0-IoTナビ」Vol.2 ほか 2016/4/18発売 オートメーション新聞別冊 「産業用オープンネットワークナビ2016」 2016年発売 ご購入はamazonで! オートメーション新聞別冊 「Industry4.0-IoTナビ」Vol.1 amazonオートメーション新聞 2015年発売 オートメーション新聞別冊 株式会社アペルザ オートメーション新聞社 「制御盤・配電盤ナビ」Vo l.1 〒231-0023 神奈川県横浜市中区山下町23番地 日土地山下町ビル13F 2015年発売 TEL:045-228-8801 FAX:045-228-8802