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エプソンロボット導入事例 倉敷紡績株式会社様(高速3Dロボットビジョンセンサー)

事例紹介

線状物認識用の高速3Dロボットビジョンセンサー

掲載内容

・お客様インタビュー
「たわみやねじれも正確に!」ケーブルに特化したビジョンセンサー

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このカタログについて

ドキュメント名 エプソンロボット導入事例 倉敷紡績株式会社様(高速3Dロボットビジョンセンサー)
ドキュメント種別 事例紹介
ファイルサイズ 2.5Mb
登録カテゴリ
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これに対し、クラセンスは 0.1mm の間隔で並んだ点と点を結び、ケーブルの クラセンス 輪郭の形状だけをベクトル(大きさと方向を持った量)で表現する「線分ベク 認識のしくみ トル認識」という手法を取った。点の一つ一つが座標になっており、つかむ パターンマッチング 位置をクラセンスが座標値として算出し、ロボットに指示する仕組みだ。 が不要な独自の「線 輪郭の形状だけなので、全体の形状を点群で表現するパターンマッチング方 分ベクトル認識」方 式と比べ、データの処理速度を大幅に向上できる。そのため、たわみやねじ 式(クラボウ様提供) れも含めたケーブルの形状を瞬時にスキャンできる。北井課長補佐は「ケーブ ルに特化したからこそ、高速処理が実現できた」と胸を張る。 高速スキャンの技術により、ケーブルの形状を「見たままに」認識できるため、パターンマッチング方式とは違って事前に3DCAD データを用意する必要もない。 また、カラーセンサーも搭載しており、ケーブルの色も見分けられる。複数の色のケーブルの中から、特定の色のケーブルを識別してつかむことも可能だ。 きっかけはタオル 同社は繊維製品で広く知られるが、ウレタンをはじめとした化成品に加え、染料の色を識別するカラーマッチン グシステム、基板やシートなどの外観検査装置、写真の3D 計測装置など、多岐にわたる事業を展開する。 では、ロボット用の3D ビジョンセンサーを開発した理由は何か? そもそものきっかけはある顧客からの「タオルを検査装置まで運ぶのにロボットを使えないか」との相談だった。 「ロボットでタオルをつかむのは非常に難し 「最初は簡単につかめると思ったが、タオルのような柔軟物を認識するビジョンセンサーがなく、ロボットでタオ いと分かった」と話す ルをつかむのは非常に難しいと分かった」と北井課長補佐は述べる。 北井基善 課長補佐 柔軟物をつかむ作業を自動化できれば、 新たな市場ニーズを開拓できる。 そう考えた同社は、外観検査装置の事業で培った画像処理技術や3 D 計測技術を生かし、柔軟物を認 識する3D ビジョンセンサーの開発に 2016 年度から着手した。柔軟物と一口に言ってもケーブルやシー ト、リネン(シーツや布団カバー、枕カバー、浴衣、 タオルなど)、食品と多岐にわたる。 当初は T シャツを畳むロボットシステムなども開発したが、ケーブル関係の相談が特に多かったことから、 初期に開発した T シャツを畳むロボットシステム ケーブルに焦点を絞って3D ビジョンセンサーの開発を進めた。そして、20 年4月に満を持してクラセン (クラボウ様提供) スを発売した。 自動化システムにして提供 クラセンスの主なターゲット市場は、自動車や電子デバイスの組み立て工程など。従来は人手でやっていた、各種ケーブルやコネクターの挿入作業の自動化 を提案していく。 同社はクラセンスを単品で販売するのではなく、ロボットなども含めた自動化システムの形にして顧客に提供する考えだ。システムインテグレーター(SIer、 エスアイアー)として、システム一式を請け負う。 今後は、各種ケーブルや光ファイバー、コネクター付きコードなどのさまざまな線状物に対応したロボットシステムの開発に取り組む。それに当たり、ロボッ トメーカーとのパイプの強化が重要な課題の一つに挙げられるが、北井課長補佐は「メーカーごとに得意な領域は違う。顧客の業種やつかむ対象物に合わ せたロボットシステムを提案できるよう、さまざまなメーカーと付き合いたい」と話す。 その第一弾として、クラセンスの特徴を生かした「フラットケーブル高速挿入ロボットシステム」を クラセンスとエ プソンの小型ロ セイコーエプソンと協力して開発。20 年 10 月 19 日から受注を開始した。 ボット、力 覚 セ クラセンスとエプソンの小型ロボット、力覚センサーなどを組み合わせたシステムで、複数の細いケー ンサーなどを組 ブルを平面上に束ねたフラットケーブルの挿入作業を自動化する。 み合わせた自動 後編では、エプソン側の開発担当者の話も交えながら、システムの特徴を詳しく解説する。両社の 化システム 出会いの場は 19 年に開催された「2019 国際ロボット展」で、北井課長補佐は「お互いの技術を補 完できそう、と直感的に思った」と当時を振り返る。 ⸺後編に続く エプソンロボットに関するお問い合わせ エプソンのホームページ 03-5919-5257 www.epson.jp/robots/ 受付時間 9:00~17:30 月~金曜日(祝日、弊社指定休日を覗く) ※この記事は robot digest からの提供を受け掲載しています。https://www.robot-digest.com/ ※役職は取材当時となります。
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お互いの技術を補完 両社が出会ったのは、2019 年に開催された「2019 国際ロボット展」(iREX2019)。セイコーエプソンはもとより、クラボウもク ラセンスのニーズ調査のために iREX2019 に出展した。 小間ではフラットケーブルの挿入システムも PR したが、環境メカトロニクス事業部技術開発部商品開発課の北井基善課長補佐 は「フラットケーブルの挿入作業では『つかむ』と『差し込む』の2つがポイント。クラセンスを使って『つかむ』の部分には 対応できたが、わが社の技術だけでは『差し込む』の部分がうまくできなかった」と明かす。 こうした課題意識を持ちながら iREX2019 の会場を回り、エプソンの小間にも立ち寄った。そこで目にしたのは、ロボットがフラッ トケーブルをつかんでコネクターに挿入するデモだった。実はエプソンも、コア技術である力覚センサーの具体的な活用事例の 一つとして、2D ビジョンセンサーを使った挿入システムを展示していたのだ。 クラボウの 「『差し込む』の部分に独自の力覚センサーを使っていると分かった。お互いの技術を補完できそう、と直感的に思った」と北井 北井基善 課長補佐 課長補佐は語る。 一方、エプソンもフラットケーブルの挿入作業の自動化に関し、課題意識を持っていた。 同社はこれまで、自動化が難しい領域に挑戦することで新たな市場を切り開き、競合他社との差別化を図ってきた。現状は人 手でしているケーブルの挿入作業を自動化できれば大きなビジネスチャンスになると見込んで技術開発に取り組んだが、「わが社 には2D ビジョンセンサーしかなく、『つかむ』の部分で困っていた」とロボティクスソリューションズ事業部 RS エンジニアリン グ部の小林誠課長は振り返る。「クラセンスを見て『これだ』と思った。初めて見た時の驚きが今も鮮明に残っている」とも話す。 また、エプソン販売(東京都新宿区、鈴村文徳社長)で代理店向けの営業を担当する FA 営業部 FA 技術課の安田光一も「ク ラセンスと自社製品を組み合わせれば、良い自動化ソリューションになると確信した。営業的な目線で見ても、わが社の技術が セイコーエプソン 小林誠 表に出る機会が増えると感じた」と説明する。 エプソン販売 安田光一 セイコーエプソン 上田淳也 実用的な生産設備を それぞれの要素技術を補完し合えると判断した両社は、iREX2019 の会期中に打ち合わせを進め た。クラボウ側は北井課長補佐が、エプソン側は小林と上田がそれぞれ中心となり、フラットケー ブル高速挿入ロボットシステムの開発を始めた。 上田は「クラセンスがケーブルを認識し、つかむ位置の座標値をロボットに指示する必要がある ので、まずはロボットの座標軸とクラセンスの座標軸を合わせるキャリブレーションの作業に力を 注いだ。初めは座標軸が合わず、ロボットが変な方向に動くこともあった」と述べる。 約9カ月で開発したフラットケーブル高速挿入ロボットシ ステム 試行錯誤を重ね、約9カ月の開発期間を経てシステムの完成にこぎ着けた。 クラボウの北井課長補佐は「これまで多くのデモシステムを製作してきたが、あくまでデモ。実際の現場 のことをほとんど知らなかったが、ロボットメーカーで電子部品メーカーでもあるエプソンから、実用的な 生産設備を作る上でのノウハウを助言してもらえたのは大きな収穫」と手応えを語る。 セイコーエプソンの小林も「わが社には生産設備を開発する部署があり、ロボットもビジョンセンサーも 実際に使用している。ユーザーとしての立場からもクラボウに助言し、システムの完成度を高めた」と言う。 エプソンは現在、自社製のロボットを社内で活用して自動化を推進する取り組みに力を入れている。上田 開発を担当したクラボウの北井課長補佐(左)と は「クラセンスの強みを生かせる工程も中にはあるので、今後はクラセンスの技術情報を社内で共有した セイコーエプソン 上田 い」と話す。 エプソンロボットに関するお問い合わせ エプソンのホームページ 03-5919-5257 www.epson.jp/robots/ 受付時間 9:00~17:30 月~金曜日(祝日、弊社指定休日を覗く) ※この記事は robot digest からの提供を受け掲載しています。https://www.robot-digest.com/ ※役職は取材当時となります。