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制御機器の基礎知識 (7) トグルスイッチ

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スイッチ・表示灯編

操作用スイッチや表示灯の仕組みや選び方を説明した制御機器の基礎知識【スイッチ・表示灯編】。
下記章がありますが、本章では、トグルスイッチの仕組みや選び方を解説。
他の章や操作用スイッチのカタログは操作用スイッチ特集 https://jp.cluez.biz/feature/page/101/ にてご確認ください。

1.安全規格と用語の説明
2.押しボタンスイッチ
4.表示灯
5.カムスイッチ
6.多方向スイッチ
7.トグルスイッチ
8.設定/信号入力用スイッチ
9.マイクロスイッチ
10.リミットスイッチ
11.ドアインタロックスイッチ(安全スイッチ)
12.3ポジションイネーブルスイッチ
13.資料編
※第3章は統合による欠番
※第1,2,4,5,6,7,8,9,11,12,13章はNECA Webサイトにてご確認を
お願いいたします。http://www.neca.or.jp/standard/howto/switch/
※規格に関しては、必ず現行規格のご確認をお願いいたします。

※本コンテンツの商用目的、営利目的での利用、また無断転載を禁じます。
(本コンテンツは、一般社団法人 日本電気制御機器工業会及び第三者が有する著作権により保護されております。)
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このカタログについて

ドキュメント名 制御機器の基礎知識 (7) トグルスイッチ
ドキュメント種別 ハンドブック
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取り扱い企業 一般社団法人日本電気制御機器工業会 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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このカタログの内容

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スイッチ・表示灯編 トグルスイッチ
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制御機器の基礎知識 【スイッチ・表示灯】 7.トグルスイッチ 目次 7.1 トグルスイッチとは .............................................................................................................................. 2 ....................................................................................................................................................................... 2 7.1.1 定義 ................................................................................................................................................ 2 7.1.2 名称の由来と関連規格 ................................................................................................................... 2 7.1.3 用途分野 ......................................................................................................................................... 2 ....................................................................................................................................................................... 3 7.2 種類と構造 ............................................................................................................................................ 3 7.2.1 トグルスイッチ .............................................................................................................................. 3 7.2.2 トグルスイッチと類似・同系統のスイッチ .................................................................................. 11 7.3 定格と特性 .......................................................................................................................................... 12 7.3.1 操作部の表示機能 ......................................................................................................................... 12 7.3.2 極数と機能動作 ............................................................................................................................ 12 7.3.3 接触抵抗 ....................................................................................................................................... 13 7.3.4 絶縁抵抗 ....................................................................................................................................... 13 7.3.5 耐電圧 ........................................................................................................................................... 13 7.3.6 負荷定格と耐久性能 ..................................................................................................................... 13 7.3.7 操作力 ........................................................................................................................................... 15 7.3.8 操作部強度.................................................................................................................................... 15 7.3.9 取付部強度.................................................................................................................................... 15 7.3.10 端子強度 ..................................................................................................................................... 15 7.3.11 はんだ耐熱性 .............................................................................................................................. 15 7.3.12 はんだ付け性 .............................................................................................................................. 15 7.3.13 耐振性 ......................................................................................................................................... 16 7.3.14 耐衝撃性 ..................................................................................................................................... 16 7.3.15 耐熱性・耐寒性 .......................................................................................................................... 16 7.3.16 耐湿性 ......................................................................................................................................... 16 7.3.17 耐腐食性 ..................................................................................................................................... 16 7.3.18 その他の特性 .............................................................................................................................. 16 7.4 正しい選択と使い方のためのチェックポイント ................................................................................ 16 7.5 使用回路例 .......................................................................................................................................... 17 ..................................................................................................................................................................... 18 7.6 故障とその対策 ................................................................................................................................... 18 7.7 検査と試験 .......................................................................................................................................... 19 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 1
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7.1 トグルスイッチとは、7.1.1 定義、7.1.2 名称の由来と関連規格、7.1.3 用途分野

7.1 トグルスイッチとは この章には、一般的にトグルスイッチと呼ばれるスイッチのほかに、それと操作形態・用途が類似で同 系統ともいえる、レバースイッチ、タンブラスイッチ、ロッカスイッチ及びそれらのバリエーションとし て照光表示機能を備えたスイッチも便宜上、一部含めてある。 7.1.1 定義 トグルスイッチという名称は、EIAJ RC-5130(電子機器用トグルスイッチ品種別通則)のなかで、次のよ うに定義づけられている。 “トグルスイッチとは、指先等による直線的な往復動作が可能なバット状のレバーをもって操作するスイ ッチをいう。” なお、NECA C 4520(制御用スイッチ通則)の用語の定義でも、ほぼ同様の説明がなされている。 7.1.2 名称の由来と関連規格 トグル(Toggle)とは、“留め木、大クギ”などの意味で索、環をかけ留める棒状のものを指すので、スイッ チの操作部形状からトグルスイッチと呼ばれるようになったものと考えられる。 なお、操作部をレバー(Lever)と一般に呼ぶ関係から、トグルスイッチのことをレバースイッチと呼称さ れている例もある。 IEC 規格では、IEC61058-1(Switches for appliances - Part 1: General requirements)でレバースイッチの 名称が示されている。 国内では、1966 年に JIS C 6571(電子機器用トグルスイッチ)が制定されたのを契機に、トグルスイッチ の名称に統一がなされたとみることができる。 IEC 規格の内容を変更することなく JIS 規格化する基本方針に基づいて、その一環として IEC61058-1 が JIS C 4526-1 (機器用スイッチ-第 1 部:一般要求事項)に翻訳制定されている。 7.1.3 用途分野 トグルスイッチは、各種制御機器、各種電子機器などの電源切換えや制御回路切換えに使用され、使用 される機器の範囲はあらゆる分野といってよいほど多岐にわたっている。一方、スイッチの仕様、種類も 様々な用途分野に使われてきた歴史を反映して多岐にわたっており、機器が要求する仕様のスイッチが選 択され使用されている。 機器が要求する仕様のなかには、スイッチの性能が使用機器の機能、品質を十分に満足するだけでなく、 法規や規格の規制を受けてスイッチそのものがそれぞれの法規、規格の認定品であることが条件づけられ ている場合がありそれぞれの用途分野で法規や規格が異なるので、それらはメーカ側もスイッチ選択側も ともに研究すべき要点である。使用されている機器例を次にあげる。 (1) 制御機器 (2) 電子応用装置 (3) 防災機器 (4) 民生用電子機器 (5) 通信機器、無線応用装置 (6) 電子計測器 (7) 事務用機器 (8) 医用電子装置 (9) 音響機器 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 2
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7.2 種類と構造、7.2.1 トグルスイッチ

(10) レジャー産業機器 その他 7.2 種類と構造 7.2.1 トグルスイッチ トグルスイッチは、小形トグルスイッチ(一般に取付用のブッシング径が 12mm で小形サイズのもの)、 超小形トグルスイッチ(一般に取付用のブッシング径が6mmで小形トグルスイッチの約1/10の体積サイズ のもの)、極超小形トグルスイッチ(プリント配線板実装専用で超小形トグルスイッチの約 1/3~1/5 の体積 サイズのもの)に大別される。 (1) 小形トグルスイッチ ① 動作原理 動作原理の違いからシーソ方式とスプリング反転 方式に分けることができるが、トグルスイッチという とシーソ方式を想起するほどにシーソ方式が主流を なしている。 スプリング反転方式は反転機構が数種類あり、それ ぞれに特長があり、切換時の特性が優れるにもかかわ らず使用上、選択上の限定条件が多いために主流をな せずにいる。 シーソ方式とスプリング反転方式の代表的な構造 をそれぞれ図 7.1、7.2 に示し、使用する立場で二つ の方式を比較した場合の一般的な特長を表 7.1に示す。 ② 接点部構造 接点部構造も大別すると動作原理で示した二つの方式に代表され、接点接触の仕方から突き合わせ接触 とすり合わせ接触に分けられる。 接触部で起きる障害には次の四つがあげられる。 (a) 接点の消耗:機械的磨耗及びアークによる接点材料の蒸発、飛散をいう。 (b) 接点の移転:一方の接点材料が他方の接点に移転することをいい、アークによる接点材料の蒸発、溶 融で片方の接点にのみ移転する場合及び微小な接触点におけるジュール熱で二つの接点が溶けてブ リッジし接点開離の際に移転する場合がある。 (c) 接点溶着:アーク又はジュール熱により二つの接点が溶けて凝固し接点開離できない状態をいう。 (d) 接点抵抗の増大:接点表面に形成される接点金属の酸化皮膜、硫化皮膜、接点開閉に伴う生成物によ Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 3
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って起きる。アークによる酸化物・カーボン析出、接点の摺動摩擦熱・衝突エネルギによる生成物の ほか、有機ガス、腐食性ガスによる接点上の皮膜成長などがある。 これらの接触障害に対してすり合わせ接触は、摩耗による接点消耗は多くなるが、接点表面の酸化皮膜、 硫化皮膜、異物などを除去し易いので、小さい負荷領域では接触の安定に有利な構造といえる。 それに対して突き合わせ接触は、接点表面の皮膜、生成物、異物の除去には不利な構造であるが、接触 力を大きくしてそれらを破壊したり影響を少なくすることで接触の安定を図ることが多い。負荷電圧電流 による皮膜破壊が期待しにくい微小負荷領域に対しては、接点材料に金又は金めっき接点を使用して接点 皮膜対策とすることが多い。 重負荷用では、図 7.3 にあげるようなシーソ方式の支点部バウンス軽減構造によって溶着や消耗を少な くする工夫がなされたり、磁石内蔵でアーク吹消し構造を備えたり、接点材料を負荷に応じて設計するな ど、接点障害克服に様々な手法がとり入れられている。 ③ その他の構造 トグルスイッチでは、レバーの倒れ位置と端子間の接触状態の関係が明らかでなければならない。規格 によって差異はあるが、EIAJ RC-5130 では図 7.4~7.9 のように定めている。 キー溝は取付リングと併用して回り止めになるとともに、レバー倒れ方向によるスイッチ回路の開閉状 態及び端子番号の基準になり、キー溝がないスイッチの場合も、それに代わる明確な基準が設けられてい る。 取付部はブッシング取付けと小ねじ取付け、操作部はトグルレバーとプラスチック製レバー、端子部は ねじ端子、はんだ付け用端子、タブ端子がある。電流容量、極数と機能動作、構造の面から代表的な種類 を EIAJ RC-5130 から引用して図 7.4~7.9 に抜粋して示す。 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 4
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以上のほか図 7.10 のようにレバー支点が防水構造になったスイッチがあり、防水用スイッチとして屋外 機器などにも使用されている。 図 7.11 のようにゴム製のキャップを用いることによっても防水効果が得られるが、直接にゴム製のキャ ップ表面を操作することになるので、操作頻度が高くなると表面の摩滅による破れなどが発生することが ある。又、油やオゾンなどによるゴムの劣化に対して耐油グレード品、耐候グレード品などがある。 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 8
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(2) 超小形トグルスイッチ ① 動作原理 前述の小形トグルスイッチの場合と同様に、シーソ方式とスプリング反転方式の二つに分けることで きるが、スプリング反転方式は構成部品が非常に小さくなり、製作面での難しさがあるほか、接触力を 大きくとれないなどの問題点があってシーソ方式が多い。 ② 接点部構造 突き合わせ接触が多い。原理的には小形トグルスイッチの構造をそのまま小さくしただけであるが、 この程度の大きさの有接点スイッチと比較すると、接触力が大きいため接触が安定している。さらに小 形トグルスイッチに比べると、接点が小さいので電流容量は大きくとれないが、バウンス時間が短くな るなど有利な点もでてくる。 ③ その他の構造 小形トグルスイッチに比べて小さいので堅牢さがそれだけ劣るが、その他の構造的特徴は操作部、取 付部、端子部の種類が非常に多い点である。 EIAJ RC-5130 では、超小形トグルスイッチに相当するスイッチは図 7.8 及び 7.9 を含めて 12 種類し かないが、各社で製品化されているものは図 7.12 に示すように操作部形状、取付方式、端子形状、極数 及び機能動作とも種類が多く、主要なものだけでも数千種類にわたっている。 操作部形状:トグルレバー(長さ、径、形状各種)、フラット形レバー、カラーチップ付きトグルレバー、 誤操作防止形トグルレバーなど。 取付方式:ブッシング取付け(M6X0.75、1/4“-40 山)、プリント配線板実装(たて形、よこ形)、パネル防水 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 9
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形取付けなど。 端子形状:はんだ付け用端子、プリント配線板用端子など。 定格:数 A クラス定格用、微小電圧・電流定格用など。 超小形トグルスイッチは、大まかに分けて極数と機能動作毎に、以上のような構造種類が製品群として ある。 (3) 極超小形トグルスイッチ プリント配線板実装専用の、極超小形サイズのスイッ チである。微小電圧・電流定格用になっており、接点部 はすり合わせ接触構造が主流をなしている。端子部には んだ付け後の洗浄にも耐えられるように、スイッチ全体 が密閉構造になっているものが多い。内部構造の一例を 図 7.13 に示す。極数は、2 極までが製品化されている。 代表的な形状寸法を、IEC61020-4-1 (Electromechanical switches for use in electronic equipment - Part 4: Sectional specification for lever (toggle) switches - Section 1: Blank detail specification)か ら引用して図 7.14 及び 7.15 に抜粋して示す。 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 10
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7.2.2 トグルスイッチと類似・同系統のスイッチ

7.2.2 トグルスイッチと類似・同系統のスイッチ (1) レバースイッチ 操作部形状が平板状のスイッチである。図 7.16 に超 小形のレバースイッチの製品例を示す。 この製品例は、超小形トグルスイッチから発展的に派 生したものともみることができ、操作部、取付方式、端 子形状、極数及び機能動作とも種類が多い。 操作部形状:プラスチックレバーなど(デザイン上優位 な形状・色各種) 取付方式:小ねじ取付け、パネル差し込み取付け、プリ ント配線板実装など。 端子形状:はんだ付け用端子、プリント配線板用端子な ど。 定格:数 A クラス定格用、微小電圧・電流定格用など。 (2) タンブラスイッチ 操作部形状が短いツマミ状のスイッチを指し、動作原 理の違いからスプリング反転方式とカム方式に分ける ことができるが、ここではカム方式についてのみ説明す る。 図 7.17 のように、操作部と一体になったカムが片持 バリ方式の接触ばねの上を動き、接点を開閉させる構造 である。この構造の最大の特長は、板ばねによる自力接 触と操作力による強制的な接点開離である。従って、接 点溶着に強いのがこの形のスイッチの最大の特長であ る。極数は、2 極までが製品化されている。 (3) ロッカスイッチ NECA C 4520 の“用語の定義”で説明されているロッ カスイッチを指し、シーソスイッチ、波動スイッチ、波 形スイッチとも呼ばれる。構造的には操作部形状がシー ソボタンになっている点と、取付方式にブッシング取付 けがない点を除けばトグルスイッチなどと同様と考え てよい。図 7.18 に構造例を示す。 なお、最近では、パネルに差し込み取付け方式のロッ カスイッチが多くなっている。 (4) 照光表示機能付きスイッチ 今まで述べてきたスイッチは、その操作部の起倒によ ってスイッチ回路の ON・OFF 状態を表わしているが、 さらに表示灯の機能も付随させた製品がここでいう照 光表示機能付きスイッチである。一般に、ロッカスイッ チの照光機能付きが多い。図 7.19 に構造一例を示す。 この例での構造的特徴は、LED 内蔵の部分、LED 及び操 作部交換のために操作部が取外し・再装着が可能となっ ている点である。 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 11
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7.3 定格と特性、7.3.1 操作部の表示機能、7.3.2 極数と機能動作

一部にネオン球内蔵のスイッチで AC100V 専用のものもあって、それらは負荷電圧も AC100V に限定さ れる。照光源は、白熱ランプに代って LED が多用される傾向にあり、ランプ交換不要なので図 7.20 など のように操作部に組込まれた製品化も進んでいる。 7.3 定格と特性 7.3.1 操作部の表示機能 レバー又はシーソボタンは、その起倒状態でスイッチ回路の ON-OFF 状態を表わしている。図 7.21 のようにレバーの場合 は上方又は前方へ倒したとき、シーソボタンの場合は上側を押 したとき、スイッチ回路が ON になるように取付けられるのが 一般的である。 特にシーソボタンの場合はボタン表面にON-OFF又は●印な どの表示が用いられ、それぞれ ON 表示、●印の側を押したときにスイッチ回路が ON となるようデザイ ンされたものもある。西欧で使用されるシーソボタンには、ON の側に“I”を、OFF の側に“○”を表示するこ とが要求されることがある。 7.3.2 極数と機能動作 極数は、原理的に入力側と出力側と分けて考えた場合の入力 側の回路数で表わし、表 7.2 のようなものが市場に出回ってい る。又、極数とともに一つの入力側に対する出力側の回路数を 数えて表7.2のように単投、双投、3投などと表わすこともある。 “極”と“投”はそれぞれ POLE、THROW を略し P、T で表わされ、 SPDT(SINGLE POLE,DOUBLE THROW の略、すなわち単極 双投)などと表現されことも多い。機能動作は、レバー又はシー ソボタンの倒れ位置とスイッチ回路の ON・OFF の関係を表わ し、表 7.3 に示されたものが代表的なものである。機能動作の 確認は、スイッチ回路にテストランプ又は他の指示装置を接続 し開閉操作することによって行なわれる。 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 12
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7.3.3 接触抵抗、7.3.4 絶縁抵抗、7.3.5 耐電圧、7.3.6 負荷定格と耐久性能

7.3.3 接触抵抗 一般に接触抵抗は、接触に関する部分の材料・ばね性・表面の状況などを一定の測定方法で点検し、ス イッチの性能の良否を確認するのが主目的で規定されている。 EIAJ RC-5130(一般にトグルスイッチは、この規格に規定されている内容レベルに準拠する性能を表現 する場合が多いため、これを引用、以下同様)の例によれば、DC1~6V を接続して閉路とし、1A を通電し て接触抵抗を測定したときに 20mΩ以下と定めている。 接点間に印加する電圧が高ければ接点表面の絶縁皮膜が破壊され、見掛け上の接触抵抗が低くなる。通 電電流が多ければ微視的に見た接触面が溶融し、皮膜破壊が促進されるのでやはり見掛け上の接触抵抗が 低くなる。従って、一般に低レベルの電圧・電流条件で測定した方が、厳しい測定条件といえる。特に微 小負荷用スイッチの測定条件には、電圧 10~50mV、電流 10~100mA 以下程度が規定されることが多い のは、この理由による。 7.3.4 絶縁抵抗 EIAJ RC-5130 の例によれば、DC500V の絶縁抵抗計又は同等以上のもので各端子間、端子と非充電金 具及びレバーとの間の絶縁抵抗を測定し、いずれも 100MΩ以上でなければならないと規定している。 この絶縁抵抗試験は、スイッチの機構部品に直流電圧を印加して、絶縁体の設計が適正かどうか、絶縁 体の劣化の影響などを調べるものである。 絶縁抵抗は、温度、湿度などの環境に大きく左右される。特に湿度による絶縁抵抗の低下は著しい。EIAJ RC-5130 では、耐湿などの試験後の絶縁抵抗を 10MΩ以上と規定している。又、負荷耐久試験によって生 じるカーボンや接点金属飛沫による絶縁体表面の絶縁低下にも配慮して、耐久試験後の絶縁抵抗を 10MΩ 以上と規定している。 7.3.5 耐電圧 EIAJ RC-5130 の例によれば、試験個所を前述の絶縁抵抗の場合と同様とし、試験電圧 AC1500V (超小 形は AC1000V)を 1 分間加え短絡、焼損、絶縁破壊などのないことと規定している。 この耐電圧試験は、スイッチに通常印加される電圧に対する安全性や、サージによる瞬間的な過電圧に 対してスイッチが正しく機能を果たすことを確認するために行われる。 耐電圧を低下させる主な要素は、絶縁空間の固有絶縁抵抗の低下(減圧条件など)、絶縁物の劣化、絶縁 物表面の絶縁低下があげられる。負荷耐久試験によって生じるカーボンや接点金属飛沫の堆積がある程度 は避けられないために、耐久試験後の試験電圧を初期の値よりも低く規定している規格もある。 7.3.6 負荷定格と耐久性能 (1) 耐久回数 耐久性試験は、スイッチを繰り返し動作させて接触抵抗や温度上昇の変化などを確認し、スイッチの許 容電流や保証回数(寿命)を調べるために行われる。 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 13
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一般的に耐久性は開閉回数で示され、平均耐久性でなく、保証回数の最小値が使われる。 耐久性の表わし方には次の二つがある。機械的な動作不能、機構部の破壊などの生じないことを保証す るのが機械的耐久性であり、電気的な開閉不能又は絶縁劣化などの異常を生じないことを保証するのが電 気的耐久性である。電気的耐久性は、最大適用負荷開閉時の耐久回数を代表値としている例が一般的であ る。 耐久回数は、一般に電源の ON-OFF 程度に使われる場合は、使用頻度が高くないために 1 万回程度でも 十分であるが、使用頻度の高い信号制御用に使われる際は、1 桁上の 10 万回程度の回数が要求される。 (2) 耐久性の判定 電気的耐久性は、主としてスイッチの接点開閉部によって決定ざれる。機構部の方が、負荷電流の流れ る接点部よりも数倍の耐久性を有するのが普通である。 接点部の障害としては、接点部の消耗・移転・溶着、接触抵抗の増大、発熱、接触不良、接点間の絶縁 劣化などがある。これらが関連する電気耐久性の判定は、各種規格、メーカ間で考え方が異なっている。 UL 規格では、火災安全性を重要視するために接点の温度上昇を判定基準に必ず採用している。アークの 出ない微小負荷領域では、このような温度上昇の判定は意味がなく、接触抵抗の限界値、ON・OFF の確 実性(信頼性)で判定される。 (3) 負荷の種類と耐久性の関係 電圧、電流のほか、負荷の種類が電気的耐久性に大きな影響を与える。開閉時の電圧、電流が一定の値 以上にならないとアークは発生しないが、アークの発生する領域では電圧、電流が耐久性に大きく関係し ている。表 7.4 にアーク発生の条件を示す。 一般的にスイッチの定格電流値は、定格電圧 AC125V 又は 250V における抵抗負荷での負荷定格表示で ある場合が多い。負荷の種類によってスイッチ ON・OFF 時の電圧、電流の過渡的変化が異なるので、そ れが耐久性に大きな影響を与えることになる。抵抗負荷以外の負荷を適用する場合は、電気的耐久回数を 保つために、開閉する負荷を低減したり、回路変更などの配慮が必要になってくる。 ① 抵抗負荷 抵抗分のみの負荷で、力率が約 1(cosφ の≒1負)荷である。スイッチの特性を示す基本的負荷といえる。 ② 誘導負荷 誘導分の多い負荷で、負荷条件は時定数で表わされるほか、交流の場合は力率で示される場合も多い。 時定数 T[s]の負荷を周期数 f[Hz]の電源に使用した場合の力率換算式を次に示す。 通常の誘導負荷は、鉄心にコイルを巻いた静止形リアクトルと考えてよく、誘導分が多い(時定数が大き い、力率が小さい)ほど遮断時に大きな逆起電力が発生し、アークの持続時間も長くなるので、接点の消耗 などが多くなる。 なお、ほかにトランス、モータ、ソレノイドなどの誘導負荷がある。特にモータ負荷の場合は、起動電 流の要素が加わってくる。 ③ ランプ負荷 白熱ランプの場合、スイッチ投入時にはフィラメントが常温なので、定常電流の 10~15 倍の突入電流 が流れ、それによって接点溶着が起きやすい。そのほかに、突入電流が流れる負荷として、コンデンサ負 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 14
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7.3.7 操作力、7.3.8 操作部強度、7.3.9 取付部強度、7.3.10 端子強度、7.3.11 はんだ耐熱性、7.3.12 はんだ付け性

荷、励磁電流の大きなトランス負荷、交流ソレノイド負荷、交流電磁接触器などがある。 ④ 直流負荷 直流負荷の場合は、交流のように電圧、電流が零になる点がないため、小負荷でもアークが発生する。 一般的には、DC30V 以下であれば、AC125V に相応した電流値か、その 1/2 程度の値まで使える場合が多 い。DC50V 以上ではアーク持続時間が極端に長くなり、接点開離時の空間距離が少ないスイッチでは、遮 断不能を呈することすらある。 7.3.7 操作力 図 7.22 のように、取付パネルに平行な荷重を加え、操作部移動中の 最大の操作力を以って規定されることが多い。類似のスイッチ群にあ っては操作力が近似していることが望ましいが、電気的特性や操作の 確実性が優先されるために機能動作の違いや単極スイッチと多極スイ ッチとではその差は大きいのが現実である。EIAJ RC-5130 では作動力 の用語としているが、その規定も極めて幅の広い数値になっている。 7.3.8 操作部強度 スイッチを使用中に操作部及び本体の変形・破損などによる使用上の障害がないように、操作部に対し て操作部強度を規定している。具体的な試験は、図 7.23 のようにレバーに静荷重を加えて行なう。 EIAJ RC-5130 では、試験荷重を 112.8N (超小形は 68.6N)と規定している。 7.3.9 取付部強度 スイッチの取付け時及び使用中に、取付け部に異常を生じないように、取付部強度を規定している。一 般にスイッチの取付けは、①取付けブッシング式②小ねじ式③スナップイン式などがあるが、それぞれの 取付け方法に応じた試験方法に基づき確認する。 EIAJ RC-5130 では、取付けブッシング式の締付けトルクを 2N-m(超小形は 0.8N-m)と規定している。 7.3.10 端子強度 スイッチの端子部分が、配線時又は使用中に加えられる機械的ストレスに耐えられるように端子強度を 規定している。その試験は、端子の種類や形状に応じて①引張り試験②曲げ試験③トルク試験などにより 確認を行なう。 EAIJRC-5130 では、はんだ付け用ラグ端子品の引張り試験荷重を 24.5N(超小形は 14.7N)と規定してい る。 7.3.11 はんだ耐熱性 スイッチの端子部が、はんだ付けの際に受ける高温に耐えられるかどうかを評価する目的で規定してい る。特に端子を保持する絶縁体に熱可塑性樹脂を用いる場合、この性能を十分に確認する必要がある。 EIAJ RC-5130 では、試験温度をはんだ付け用ラグ端子品の場合 350 ℃、プリント配線板用端子品の場合 260 と℃規定している。 7.3.12 はんだ付け性 スイッチの端子のはんだ濡れ性を評価する目的で規定している。はんだ付け性に影響を与える要因とし Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 15
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7.3.13 耐振性、7.3.14 耐衝撃性、7.3.15 耐熱性・耐寒性、7.3.16 耐湿性、7.3.17 耐腐食性、7.3.18 その他の特性、7.4 正しい選択と使い方のためのチェックポイント

ては、端子材質、表面処理あるいは端子表面の経時的硫化・酸化などがある。 EIAJ RC-5130 では、試験温度をはんだ付け用ラグ端子品の場合 270 、℃プリント配線板用端子品の場合 235 ℃と規定している。 7.3.13 耐振性 スイッチを輸送中又は使用中に受ける振動に対する耐性を評価する目的で規定している。EIAJ RC-5130 の例では、試験条件を振動数 10~55Hz の可変振動、全振幅 1.5mm と規定している。 7.3.14 耐衝撃性 スイッチを輸送中又は使用中に受ける機械的衝撃に対する耐性を評価する目的で規定している。トグル スイッチの試験条件は、一般にピーク加速 490m/s2、作用時間 11ms が採用されている例が多い。 7.3.15 耐熱性・耐寒性 スイッチを高温や低温の状態にさらすことによって、高温・低温で使用又は保管する場合の耐性を評価 する目的で規定している。規定値はスイッチの種類によって異なり、一定化されていない傾向にあるが、 一例として耐熱試験条件は70 に℃ 16時間放置、耐寒試験条件は-25 ℃に 16時間放置などと定められている。 なお、耐熱性と耐寒性をそれぞれ試験するほか、温度サイクル試験など、温度変化に対する耐性を試験す る場合もある。 7.3.16 耐湿性 スイッチを高い相対湿度の下に置くことにより、高湿度下で使用及び保管する場合の耐性を評価する目 的で規定される。EIAJ RC-5130 では、温度 40 ℃、相対湿度 90~95 ℃の環境に 96 時間放置する試験条件 を規定している。なお、温度・湿度を組合わせた温湿度試験を適用する場合もある。 7.3.17 耐腐食性 スイッチを使用中に腐食などによる使用上の障害がないように、その耐性を評価する目的で規定される。 一般に塩水噴霧試験と呼ばれる試験を採用する例がほとんどである。EIAJ RC-5130 では、塩水の濃度 5% の噴霧中に 48 時間放置する試験を規定している。 7.3.18 その他の特性 防水性・防塵性など保護構造に関する規定、温度上昇に対する規定などがある。 なお、特に電源切換え用のロッカスイッチや一部のトグルスイッチなどでは、IEC61058-1 の翻訳規格 である JISC4526-1:機器用スイッチ)への適合を求められる傾向がみられる。その要求される諸特性の詳細 については、当該規格を参照願いたい。 7.4 正しい選択と使い方のためのチェックポイント (1) 認定品を使うことを要しないか 当該セットが特定の認定品を使うことになっている場合、スイッチの性能が実使用上は十分に機能を満 足していても、認定品でなければ使用するわけにはいかない。ただし、「認定品を使う」という意味が指針 的、目安的なものとして決められていて、当該セット用のスイッチが認定品でなければ出荷することがで きないという内容でない場合は別である。 (2) 規格条件への適合性はどうか 使用される機器において、接点の温度上昇、接点の仕様(材質、表面処理、大きさ)、沿面距離、絶縁距 離、プラスチック材料の難燃性、接触力などの要求される規定はないか。 (3) 負荷条件はどうか 一般的にスイッチ仕様として示されている負荷定格は、抵抗負荷など極めて限定された条件のものであ る。したがって、実負荷(誘導負荷、ランプ負荷など)の条件に応じて実使用電流を軽減するとか、保護回 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 16
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7.5 使用回路例

路を併用するなどの配慮が必要である。特に突入電流が流れる負荷で使われる場合には、接点の溶着に留 意する必要がある。 耐突入電流定格を備えていない一般のシーソ接点のスイッチをランプ負荷の開閉に使用する場合は、そ の定常電流を抵抗負荷の電流の 1/5~1/10 以下程度に配慮するとよい。又、ユーザの指定負荷におけるメ ーカとの仕様書取り交わし保証には、実負荷での試験を要する場合もある。 微小負荷の用途では、金系接点のものや、摺動接触式のものを採用するほか、外部雰囲気の影響を受け ないように、密閉性を高めたスイッチを選定するのが望ましい。 (4) 回路設計条件はどうか 電源開閉用スイッチでは、両切りでなければならない場合もあるが問題はないか。又、ほとんどの操作 用スイッチは、構造上からバウンスの発生が避けられないが、実使用回路上で問題ないか、回路設計上で 吸収が可能か。 (5) 機械的強度はどうか 操作部強度、取付部強度、端子強度を確認したか。これらの強度は、スイッチの取付け、結線作業から 使用に至るまでの取扱い上の要点ともなる。 (6) 使用環境はどうか 防塵構造、防水構造のスイッチを必要としないか。腐食性ガスに対する配慮はどうか。さらに、使用温 度(低・高温)などの環境も規定を要しないか。 (7) 誤操作対策はどうか 誤操作防止機能付きのスイッチの使用を要しないか。 (8)はんだ付け作業はどうか スイッチのはんだ付け作業は、手際よく短時間で行なうのが望ましい。時間がかかり過ぎると、スイッ チ本体のフクレとかフラックスがスイッチ内部に浸入して接触影響を及ぼす原因になる。又、プリント配 線板実装用スイッチにおけるはんだ付け後の洗浄に関しては、丸洗い可能な製品と不可能な製品、さらに はその中間的な製品に分けられる。したがって、その点を十分に確認する必要がある。一般に完全密閉構 造のスイッチでは丸洗い洗浄可能になっている場合が多い。なお、洗浄液についても、スイッチに使用さ れているプラスチックの材質などを考慮して選定する必要がある。 はんだ付け及び洗浄の条件は、各ユーザで異なる場合が多いため、工程条件の十分な把握と、必要に応 じてテストランによる確認を行なうのが望ましい。 7.5 使用回路例 図 7.24~7.27 にスイッチ回路の上手な使い方の例 ともいうべき使用回路例を示す。 これらのほか、接点を並列接続してスイッチ ON の 信頼度を、接点を直列接続してスイッチ OFF の信頼 度をそれぞれ向上させる冗長手法が採用される場合 があるが、前者は溶着が起こりうる負荷領域でスイッ チ OFF の信頼度が、後者は特に微小負荷領域でスイ ッチ ON の信頼度それぞれ低下することにもなるの で、使用条件とスイッチの特性にも十分配慮しなけれ ばならない。 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 17
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7.6 故障とその対策

. 7.6 故障とその対策 (1) 故障はスイッチかどうか スイッチに起因する故障か否かの判定は慎重でなければならない。別のスイッチと交換したら正常にな ったという場合でも、しばしば真因がはんだ付け不良であったり、取付け、結線時の異常なストレスの影 響であったりする。 故障そのものが偶発的で、スイッチ交換に合わせて偶発的に故障が観察されなくなる例もある。機構部 品の接触障害の挙動は複雑でつかみにくいが、他の機構部品についても調査してみる必要がある。 (2) 故障モードはどうか 故障の状態を観察して、初期故障か、偶発故障か、摩耗故障かなどを見極める必要がある。 スイッチを交換すれば解消する故障ばかりではないからである。スイッチ不良であればスイッチ交換す ればよいが、スイッチ不良か否かの判定も難しい場合が多く、使用頻度・期間・環境、故障発見時の状況、 故障の起こり方などと合わせて判定が下される。故障スイッチをメーカに送付して調査を求める場合は、 極力、故障時の状況のままを保つ必要がある。事情が許せば、はんだ結線をはんだ作業で外さずに、ニッ パなどでリード線を切るなどにも配慮したい。 (3) 故障品の修理はどうか スイッチ故障に対する措置は現品交換が原則である。スイッチは厳密な技術仕様によって組立てられる ので、故障スイッチの解体、修理、再利用はスイッチの細部仕様の保証が損なわれることになり、別の事 故を招きかねない。 (4) 対策について スイッチ不良のほか、スイッチ仕様がその装置の使用条件に適さないために起こる故障も多く、状況に 応じて様々な対策がなされる。この場合も、故障モード把握と解析に基づく原因究明が基礎になるのでス イッチ故障の解析にメーカの協力を求めるときは、使用条件、故障に至る経過、故障発生時の状況などで きるだけ詳しく相手方に伝える必要がある。 (5) 予防について すでに述べた留意事項のほか、運搬・作業途中の取扱い及び使用環境条件には十分に注意を払う必要が ある。取扱い、運搬途中での落下などによる破損、内部機構不良の発生は比較的多い。 又、スイッチ結線作業後の絶縁物表面の清浄化にも留意する必要がある。次に述べる電極材料の移行、 絶縁物表面のトラッキングなどの現象が起こりやすくなり絶縁劣化をひき起こすからである。 電極材料の移行は、特に腐食性ガスが多く、多湿な条件下で比較的高い直流電圧が印加されている端子 間で発生しやすく、ケースの表面又は内部に電極を形成する金属材料(錫、銀が比較的移行しやすい)が徐々 に成長する現象である。 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 18
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7.7 検査と試験

メーカ側には、電極材料、又はその表面処理の選定によって発生を抑える方法と絶縁材料の選定によっ て発生を抑える方法があり、ユーザ側にはケース表面を清浄化した後、樹脂によるコーティングで移行現 象を抑える方法がある。 スイッチ外側で起きる形態のトラッキングは、絶縁表面が無機塩、繊維、ちりなどに汚染されていて湿 度が加わると漏れ電流が流れて局部的に乾燥し、微小放電を起こし表面を炭化損傷することによって通電 性トラック(軌跡)を生じる。 メーカ側には、・沿面距離を大きくする、トラッキングを起こしにくい絶縁材料の選定などの予防方法が あり、ユーザ側にはケース表面の清浄化及び清浄化後の樹脂によるコーティングなどの予防方法がある。 ただし、絶縁物表面の清浄化の際、溶剤を使用するにあたっては通常のスイッチが密閉構造でないこと を十分留意しなければならない。洗浄液がはんだフラックスの残痒をスイッチ内部に引き込み接触障害を 起こす例もある。 7.7 検査と試験 試験には、形式試験と受渡し試験があり、受渡し試験の項目は受渡し当事者間の協定により形式試験の 中から選択又は追加して行なう。その際、判定条件も同様に当事者間で協定に基づいて決定されている。 形式試験の項目(EIAJ RC-5130 の試験項目より引用)として次のものがある。 (1) 外観 (2) 構造 (3) 形状及び寸法 (4) 表示 (5) 機能動作 (6) 接触抵抗 (7) 絶縁抵抗 (8) 耐電圧 (9) 作動力 (10) 作動量 (11) 端子強度 (12) 取付部強度 (13) 操作部強度 (14) はんだ耐熱性 (15) はんだ付け性 (16) 耐寒性 (17) 耐熱性 (18) 温度サイクル (19) 耐湿性(定常状態) (20) 温湿度サイクル (21) 温度上昇 (22) 電気的耐久性 (23) 耐振性 (24) 衝撃 (25) 塩水噴霧 無断複写・転載を禁じる。 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 19